靖幸のライブからまだ2日しか経ってないことに愕然とする。全然、全然覚えていない。ライブのセトリを作って度々聴いたりはしているけど、靖幸はアレンジの人なので、映像は甦るような気はするが、聴けば聴くほどあの日の歌唱のすばらしさが頭から抜けて行ってしまうような気がして、でも聴かないと今度は映像が抜けて行ってしまう気がして、頭を抱えている。特に若いころの歌は今の靖幸歌唱で聴くと全然印象が違うので、「違う……こんなんじゃない！」とか思っているうちにどんどん頭から抜けて行ってしまう。まあ生きてれば忘れて行ってしまうのはしょうがないんだけど、靖幸にしばらく会えない今、一昨日の記憶を必死につなぎ留めることしか自分にはできないし、それしかできないことがまたやるせない。また行ける、また行こう、もちろんライブにはまた行くけど、その「また」がいつになるかは分からないし……。
あんなに素敵な時間だったのに、素敵な時間だったからこそ、多分脳が夢だと思っている。夢は目覚めたら忘れてしまうのと同じように、靖幸と過ごした時間も夢だと脳が認識してしまっているのかもしれない。力強かった。近くで見る靖幸は、歌声が、存在が、大きかった。本当に生きてたんだな。本物を間近で見た時はほんと、「わあ、いる！」って感じ、なんであんなに平静を保てていたんだろう？戸惑いこそあれど狂乱はしなかった。ていうか今思えばあれは、戸惑いというか照れだな。憧れの人が急に近づいてきてどうしたらいいかわからなくなっていた。かっこよかったなあ……画像や映像で見るそのままだった。それよりもかっこよかったかもしれない。帰ってきてはじめてすごい空間にいたことを実感する。楽しむ姿を見て喜んでほしくて、いつも以上にはしゃいだし、笑ったし、踊ったけど、気持ちは伝わっただろうか。すっごく楽しかった。楽しすぎて終わるのが怖かったし、踊りすぎて身体は辛かったけど「もう終わっちゃうんだ」って思った。終わらないでほしいってこんなに思ったライブは初めてだったなあ。
私は絵も描けないし、文章も別にうまくはないけど、ただただ思い出したことをひたすら書き留めるしかできることはないから、とりあえず今の気持ちとか、トリガーになりそうなものを書いておこうと思う。でもほとんど残っていない。唯一、何の曲だったか忘れたけど、上手に来た靖幸が私の目を何秒か見つめて歌って、静かにセンターに去っていったのだけ覚えている。上手に来て去り際に、私を見つめて戻っていった。私もまた叫ばず、ただ静かに目を見ていた。走馬灯みたいにゆっくり時間が流れていて、「あ、目が合ってる」って思った。射貫かれたようだった、あの瞬間は夢じゃないと思う。本当かなあ。すこし自信がない。今ぴんと来て「どうかしてるよ」掛けたけど、その時だったかなあ。涙が出るのは、曲が悲しいからかトリガーになってるからかわからない。涙をぬぐう靖幸を見守ったのは覚えている。でもあんな静かな曲で歩き回るとも思えない……記憶がない。すぐになんでも忘れてしまうのはある意味良いところだと思っていたけど、こんなにつらいとは。人生にそう何度も得られない最前列チャンスをふいにしてしまったようで本当に情けない。もしこの記憶力の衰えが飲酒のせいなら今すぐ断酒したい。念写したいよほんと。うっすら残ってるこの記憶もすぐどこか飛んで行ってしまうと思うとほんとつらい。体感したことその場で全部メモしたいくらい、でもそんなの楽しめないし、靖幸もそんなの望んでないね。精一杯歌い踊り笑うことが靖幸を幸福な気持ちにさせると、私は信じているから……
夢女子なのは昔からで、二次元も三次元も見境なくガチ恋しがちだけど、でも岡村ちゃんと別に結婚したいとか付き合いたいとか思ってるわけではなく、自分はどうなりたくて、何に落ち込んでるんだろう、と思う。昨日飛行機に乗ってる時からずっとダウナーで虚しい。終わってしまったならまた観に行けばいい。でもまた多分3か月くらい会えないことがさみしい。そして最前列で、視界のすべてを岡村ちゃんに捧げられることなんかめったにないのが悲しい。私はこんなにさみしいけど岡村ちゃんは私のことを知りもしないことがもっとさみしい。知り合いたい、ね……せめて送った手紙を読んでくれていることを祈りたい。こんなに岡村ちゃんのことが好きなんだよ、私！って知らせたい。まあ、だからどうということはないし、承認欲求でしかないんだけど。
でもね、前は若い時の靖幸の方が好きだったんだけど、今回ライブに行って今の岡村ちゃんが素敵だなって思うようになった。ライブ映像とか見てても、若い時の岡村ちゃんは危ういくらい全能感に満ち満ちてて、とにかく輝いてる。若さの放つ煌めきの眩しさよ、って感じ。今の岡村ちゃんは、落ち着いていて穏やかで、若い頃が燃え盛る炎なら、今は大きな川のよう。激しいダンスやセクシーな演出はもちろん素敵だしこちらの気持ちは燃えるけど笑、でもなんか、大きくなったって感じ。まあ平たく言えば大人になったんだろうけど、若いころでは歌えなかったようなあたたかくやさしい曲も歌いこなしていて、素敵だなって思った。なんか包容力を感じたな。最近の曲、少し歌謡っぽかったり「生活」のことを歌ってたりして、岡村ちゃんも日々の営みみたいなことを言うんだな、と思ってたけど、でもそれがフィットしてるっていうかさあ。岡村ちゃんが色々積み重ねた上でそうなれたことも、私がそれを素敵だなって思えたことも、なんだか嬉しかった。これからも健康で歌い続けてほしいなあって思う。また会いたいよ。
